女性の泌尿器科

女性の泌尿器とは

女性の泌尿器とはこのページでは、女性に多くみられる泌尿器疾患について解説していきます。 女性は身体の構造上、膀胱炎などの泌尿器疾患になりやすいです。排尿に関する症状は「年を取ったから」と頻尿を放置してしまう方が多いのですが、何らかの疾患が潜んでいる可能性もあります。

また、泌尿器疾患は放置すると、腎臓に負担をかけてしまう恐れがあります。自覚症状がありましたら、お気軽に受診してください。

急性膀胱炎

女性は尿道が短いという身体の構造上、男性より膀胱炎を発症しやすいです。膀胱炎はトイレを我慢することで発症リスクが上昇します。また、生理前後や性交渉後、免疫力が落ちた時、陰部を洗いすぎた時なども発症・再発しやすくなります。

放置すると細菌が腎臓まで広がり、腎盂腎炎へ移行するリスクが高まります。そのため、我慢せずに受診することをお勧めします。

尿路結石

尿路結石尿路結石は、尿路(腎臓から尿管・膀胱・尿道までの尿の通り道)に結石ができる疾患です。

泌尿器疾患の中では一番多くみられる疾患のひとつで、年間発症率も近年増加傾向にあります。特に女性の中では、閉経後の年代の方に多くみられます。

原因

結石ができる原因はシュウ酸が原因だと言われています。シュウ酸が多く含まれた食べ物・飲み物を過剰摂取しないよう気を付けましょう。シュウ酸が多く含まれている食べ物・飲み物は主に、ほうれん草やコーヒー、紅茶、コーラ、チョコレート、ピーナッツなどがあります。カルシウムを積極的に摂取するようにしましょう。

症状

代表的な症状は、突然の激痛や血尿です。

腎結石の場合は自覚症状に乏しく、健康診断で発見されるケースもあります。また、尿流に沿って尿管内に落下することで、腰・背中から側腹部にかけての激痛や、下腹部の痛みが引き起こされます。

夜間や早朝に発生する傾向があり、3~4時間症状が持続します。腎盂腎炎を併発すると、38~40度の発熱が現れることもあります。膀胱結石・尿道結石になると、排尿の途中で尿が途切れるといった症状も現れます。中でも下部尿管に結石ができると、頻尿や残尿感が引き起こされます。

治療

薬物治療、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、内視鏡手術などで治療していきます。また、5mmぐらいの結石でしたら自然排石が期待できるため、こまめな水分補給や運動などを行います。ただし、10mm以上の結石の場合は、自然排出できる可能性は低くなるため、他の治療法を検討します。

大きい結石につきましては、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)という手術で結石を砕きます。腎臓に大きな結石が生じた場合は、経皮的腎結石破砕術(PNL)を行います。結石の影響で尿がスムーズに通過できず、感染症を起こした場合、または重症化した場合は、カテーテルやステントを留置して、スムーズに排尿できるようにします。

「腎臓が片方しかない場合」、片方の腎臓の機能が低下している場合」などは、腎臓の機能をキープさせるためにステントを入れることもあります。

急性腎盂腎炎

腎盂(じんう)とは、腎臓で生成された尿がためられる部分です。腎盂腎炎は、主に尿道から侵入してきた細菌が感染することで、腎盂の炎症が生じる疾患です。原因となる細菌は、大腸菌やブドウ球菌、緑膿菌などがあります。

症状

診察

問診でお悩みをお聞きした後に、体温測定と触診、尿検査、血液検査、超音波検査を行います。尿検査では膿尿や細菌がないかを調べ、血液検査では炎症がないかを調べます。さらに、超音波検査(エコー)では、水腎症の有無を確認します。

治療

抗生物質の点滴や、内服薬の服用を行います。入院による治療が必要な場合は、連携先の医療機関をご紹介します。

尿失禁

尿失禁突然強い尿意が生じて我慢できず尿漏れを起こす「切迫性尿失禁」と、くしゃみや咳などで膀胱が圧迫されることで尿漏れを起こす「腹圧性尿失禁」などがあります。

女性は男性よりも尿道が短いことに加え、妊娠・出産などの経験によって、骨盤底筋群の筋力低下があり尿失禁を起こしやすいです。尿失禁は適切な治療で完治できますので、我慢せずにご相談ください。

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過活動膀胱(切迫性尿失禁)

過活動膀胱(切迫性尿失禁)頻尿や夜間頻尿(夜中に尿意で起きてしまう)、尿意切迫感(突然の強い尿意を催し、我慢できなくなる)、切迫性尿失禁(急に強い尿意がきて、我慢できずに尿漏れを起こす)などの症状は、尿がたまる前に膀胱が収縮してしまう過活動膀胱である可能性が高いです。

とはいえ、膀胱炎や尿路結石、がんなどでも同様の症状が出ることもあるため、医師の正確な鑑別が必要になります。早めにご相談ください。

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神経因性膀胱

脳血管障害の後遺症や脊髄障害、パーキンソン病、糖尿病などの疾患が原因で、尿を出したり尿をためたりする神経がうまく動かなくなることで発症します。

尿漏れ、下腹部の腫れ、残尿感、尿意を感じなくなるといった症状が見られ、放置すると腎臓に負担がかかってしまいます。

心因性頻尿

心因性頻尿(神経性頻尿)とは、不安や緊張などが原因で尿意を感じやすくなる疾患です。心因性頻尿を放置すると、通勤・通学や会議、面接、試験、プレゼンなどが辛くなり、日常生活に大きな支障をきたします。適切な治療で改善できるため、我慢せずに受診しましょう。

腎盂腎炎

血液を“ろ過”する「腎実質(じんじっしつ)」や、尿を一時的にためる、通路の「腎盂腎杯(じんうじんぱい)」が細菌感染することで発症する疾患です。膀胱炎や尿路感染症が原因で、腎盂腎炎を発症することは少なくありません。

症状は、頻尿や残尿感、排尿痛、血尿、白濁尿、背中・腰の痛み、発熱、吐き気、脱水などがあります。尿が腎盂内にうっ滞したり、高熱が生じたりした場合は、入院して治療を受けていただきます。その際は、当院が連携している医療機関へご紹介します。

腎機能障害

腎機能が低下している状態を腎機能障害(腎不全)といいます。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全に分かれ、両方とも早期治療を行わないと症状が進行するため要注意です。 急性腎不全にかかると、「尿が出ない(無尿)」「尿の出が悪い(乏尿)」がみられます。

急性腎不全は早期治療を行うことで腎機能が回復する可能性が上がるので、速やかに受診しましょう。慢性腎不全の場合、早期の自覚症状に乏しく、ささいな違和感に気付くことが早期発見のカギです。

進行すると頻尿・夜間頻尿や、顔や足のむくみ、食欲低下、息切れ、疲れやすいといった症状が現れます。慢性腎不全の場合、失われた腎機能は回復しないため、こういった症状がありましたら早急に受診してください。

骨盤臓器脱

骨盤臓器脱とは、膣から膀胱や子宮、直腸などが飛び出してしまう疾患です。 骨盤底筋群は強い力を持つ筋肉・靭帯で、膀胱や子宮、直腸が下に落ちないよう、支える役割を担っています。女性は妊娠や出産、加齢、閉経などが原因で、骨盤底筋群に負担がかかったり、衰えたりしやすいです。

骨盤臓器脱は大きく分けると三種類あり、膀胱瘤と子宮脱、直腸瘤に分類されます。早期のうちは頻尿や下腹部の違和感、残尿感、便秘などを生じ、進行すると出血やかゆみなどを引き起こします。軽度のうちに早期発見することで、心身ともに負担のかからない治療で改善されます。

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