子どもの包茎とは?
「包茎」とは、陰茎先端の包皮口が狭いために、亀頭が包皮という皮におおわれて露出できない状態のことです。包皮は、外板(外から見える皮膚の部分)と、内板(陰茎先端で内側に折り返している部分)という部分があり、乳幼児期の子どもの場合、内板と亀頭がくっついていて、折り返し部分である包皮口が狭くなっているのが通常です。
しかし、中には治療が必要になる包茎もあります。また、元から亀頭が包皮におおわれていない場合、陰茎の先天異常が疑われます。症状に関して分からないことがありましたら、当院へお気軽にご相談ください。
成因
生後間もない男児の場合、包茎は普通のことなので心配は要りません。剥き始める時期は子どもによって異なりますが、4~5歳になると、亀頭が見えるまで剥けるようになる傾向があります。14~15歳になっても包皮を完全に剥けられない子どもは決して珍しくありませんが、通常、思春期以降になると包皮をスムーズに剥けられるようになります。
日本人の陰茎形態の変化についての調査によりますと、亀頭がほぼ露出するようになる年齢の割合は、6ヶ月未満の場合は5%未満で、3~4歳では約50%となり、11~15歳になると70%以上だと報告されています。
診断・検査
子どもの包茎の多くは治療する必要性がありません。しかし、亀頭や包皮の先端に炎症が起きる「亀頭包皮炎(きとうほうひえん)」や、「包皮口が狭いことで、バルーン状に包皮がふくらむ状態」がみられる場合は、治療が必要になります。亀頭部だけではなく、陰茎全体が奥に引っ込んでしまっている「埋没陰茎」の場合も、一度受診してください。
至急受診する必要があるのは、むけにくかった包皮がむけた際に、包皮が元の状態に戻らなくなる「嵌頓包茎(かんとんほうけい)」が発生している時です。嵌頓包茎は長時間放置(6時間以上)すると包皮が壊死しはじめてしまうので、速やかに受診してください。
治療
「環状切除術」という、包皮口を切開してむきやすくする手術を行います。包皮がバルーン状にふくらむ状態(バルーニング)がある場合は、手術もしくはステロイド軟膏治療で治療していきます。また、2~5歳頃の子どもの場合、亀頭包皮炎が起きることがありますが、症状が軽いと治療する必要はありません。
包茎の治療は、各国の文化や歴史、宗教的背景の影響を大きく受けるものです。WHOの報告(2007年)によりますと、包茎の手術を受けた成人男性の割合は、イギリスだと6%程度で、アメリカでは75%、韓国は80%以上、韓国を除いたアジア諸国では20%以下だと言われています。ユダヤ教やイスラム教では、乳幼児期の男児の約70%が包茎を手術する「割礼」を経験しています。
日本では、嵌頓包茎や真性包茎など、性感染症や尿路感染症にかかるリスクがある包茎を対象に、手術を行います。